テルミンの定番教則本が存在した

Mothod of Thereminという教則本
テルミンはピアノのバイエルやクラシックギターのカルカッシのような定番の教則本はないと思っていたら、あの伝説のテルミン奏者、クララ・ロックモアが残した教則本があってネットで公開されていることがわかった。
Clara Rockmore Method of Theremin
レッスン1からレッスン12の概略
例えばLesson1は何気なく簡単なメロディーを弾く練習のように見えるが、これは手の形を変えずに位置だけ変えてメロディーを弾く練習で、テルミンの音の位置感覚を体に覚えさせる練習となっている。
Lesson2は左手で音量をクレッシェンドしたりする練習で、テルミンに関する数少ない書籍の中でも左手の練習用にメソッドを明確にして練習曲まであるのはこの教則本でしか見たことが無い貴重なものだ。
Lesson4はスタッカートの練習で左手を高速に動かして細かく音を切る練習になっている。テルミンではこれがなかなか難しいのでよい練習になる。
そしてLesson5でついに手の形をどうすべきかについての説明がある。親指と人差し指で印を作り、その他の中指・薬指・小指を開いて、クローズドポジションから2つ音階の登る練習がでてくる。
これがLesson7でクローズドポジションから2つ先の音に飛ぶ、音の跳躍の練習がある。これが大事な練習で音の跳躍が正確に綺麗にできるかどうかは演奏のクォリティに大きく影響する。
Lesson12ではデイリー練習として、1オクターブの音の跳躍と、ドレミファソラシドと1音づつ変化させる音階練習がある。確かに音階のオクターブ跳躍とその間を全て弾く音階練習というのは基本的な練習になるものだ。
どうやって弾くかは具体的には書かれていない
この教則本には書かれていないが、この練習をする上で重要な選択は、印を結んだ指を水平にして印が上から見える握手型ポジションにするか、印は垂直にして手のひらが見えるおいでおいでのポジションでいくかの選択が必要になる。クララ・ロックモア自身は印は水平ポジションだと思うが、日本のテルミン第一人者・竹内正美氏などは垂直ポジションを採用している。
個人的には水平ポジションだと音階のレンジが広い曲でダイナミックに音階を使う曲を弾きやすく、垂直ポジションだと1つの音階+前後の数音の狭いレンジの曲が弾きやすいように思う。どちらにしても、クローズドポジションからオープンポジションでオクターブ跳躍をして、その間の音階を指を開きながらやる際に、どちらの方が自分としては弾きやすいかで決めることになる。

