マトリョミンME03/ME04の違い

マトリョミンという手のひらに乗るテルミンを保有している人自体が極めてレアだと思いますが、敢えてマトリョミンの世代による違いという超レアな話題を取り上げてみたいと思います。どのマトリョミンにも共通する話としては、マトリョミンは浜松のマンダリンエレクトロン社という日本におけるテルミン奏者の草分けのレジェンドが作った会社から発売されてきましたが、近年諸般の事情から製造中止となってしまった名器です。またマトリョミンはテルミンからボリュームコントロールを取り除きピッチコントロール(音階の変更)操作のみで演奏するものです。
マトリョミンME03
マトリョミンは演奏前にチューニングをしてゼロポイント設定(音のでる範囲の調整)をする必要があります。これは非常に繊細な作業ですが、ME03はこれを底面のダイヤルで手動で調整できます。テルミン奏者の方はこれをピッチコントロールノブで毎回行うので、このダイヤルでのチューニングは慣れ親しんだ方式です。一方テルミン自体を触ったことのない初心者の方がマトリョミンから始めた場合は、このチューニングがよくわからずそこで挫折するなどという場合も十分あり得るので、ここはちょっとハードルが高いといってもいいのかもしれません。
またME03は外部へのライン出力の音量が小さいのでHONEYTONEアンプというギター練習用の小型アンプが推奨となっています。普通のギターアンプの場合はプリアンプで相当出力を上げないといけないのが難点です。
マトリョミンME04
上記のME03の弱点を解消するために、ME04ではチューニングは底面のボタンを押すだけで自動で行われるようになっています。これでもうチューニングの悩みからは解放されました。
またライン出力レベルが格段に大きくなりました。そのため逆にアンプとの間にミキサー等で音を減衰させないと音が大きすぎて音割れするという問題が新たに発生する場合が出てきました。
色々改良をしたせいかME04はME03よりも一回り大きく重くなりました。
テルミン経験者にはME03がお勧め
私はテルミンをMoog Etherwave Standardとかで弾くので、その感覚に近いのはME03の方です。要するにチューニングを手動で行うというタイプのテルミンです。こちらだと自動チューニングがなんらかの理由で失敗するような環境でも、手動なので自分で合わせればなんとかなりますから。
また軽くて小さいというマトリョミンの特徴がME03の方がME04より若干勝ってます。手のひらに乗せて演奏する楽器なのでこのちょっとした差が大きいように思います。
ME03は出力音のレベルが小さいのですが、小さい音を大きくするのはアンプやミキサーがあればなんとかなりますが、ME04の場合、出力レベルが大きすぎるので減衰させる方が逆に面倒です。さらにこの違いが電池がどれだけ持つかにおそらくかなりの影響があってME03の方が長持ちすると思います。
まとめるとテルミン経験がある方ならME03の方が使いやすいと思います。未経験者の場合はME04の方がよいでしょう。
付け加えると「テルミン学習帳」はME03の演奏法について詳細に解説されているのでこれがあれば鬼に金棒です。最大の問題はME03なんて中古市場でもめったにお目にかかれないのでほぼ入手不可能ということだけです!
