テルミンこそシニアの楽器だ

テルミンのご紹介
皆さんはテルミンという楽器をご存じでしょうか? テルミンは色んな方が紹介しておられますが、ざっくりと言うとラジオの原理を応用してアンテナに手を近づけることで音階と音量を調整する電気楽器です。下記のような宇宙船のような形状をしたアンテナ付きのあやしいデバイスがテルミンです(この白い楽器の正式な名称はMoog Thereminiです)。

例えばサックスとかだとまともに音を出すところから始めなければいけないので大人になってから新しく習うにはハードルが高いです。ピアノやギターは音はすぐ出ますが、ちょっとした曲を人前で弾くとなるとなかなか勇気がいります。どんな楽器もまずは簡単な練習から始めると思いますが、上手くなるまでの途中の段階で家族やご近所には迷惑をかてししまい心苦しいものです。ヘッドホンをつけて弾けばいいと思うかもしれませんが、ギターなんかはそこそこの生の音が出るので結構やかましいものです。
そこへいくとこのテルミンという楽器は弾ている時に全く音がしません。つまり何かを叩いたりして物理的に音を出したりしないので、真夜中に練習してもヘッドホンから音がするだけで部屋の中にも外にもいっさい音は出ません。そのため物凄く下手な演奏をしていても誰にも聞かれること無く修行できます!
まずはドレミの音を弾けるまで試行錯誤
もちろんシニアが挑戦する楽器ですから、その奥深さは並み大抵ではありません。「ドレミの音階がなかなか弾けない」というところから始まります。空中のどこら辺がドで、レはどこか、それは探さないとわかりません。テルミン奏者の数だけ奏法があってこれだという奏法は他の楽器のように確立していませんが、ほぼ共通なのはOKサインのような手の形をしたところから、すべての指をまっすぐ伸ばした時に1オクターブが出るという場所を見つけるということです。
どのくらい練習すれば簡単な曲は弾けるようになるのかという質問を受けることがありますが、それは「1日ですぐ」かもしれないし「数年後」かもしれません。私の場合でいうと最初にテルミンを買ったのは「学研大人の科学 テルミン特集」だったので随分前です。それでもう少しちゃんとしたものを思って表題画像のテルミンを購入したのですが、どうしてもうまく弾けず箱にしまって数年寝かせておきました。ある年末の大掃除でそれが発掘され「これまだ動くかな?」と試しに音を出したらまだ大丈夫でした。
そこでそもそもどうやって弾くといいかをネットで調べたら「theremini テルミンモード」というのがあることがわかったのです。買ったthereminのタイプが普通じゃないテルミンだったので、電源ON状態ではテルミンじゃない音階自動調整モードで弾いていたんです。そこでネット情報をもとに恐る恐るテルミンモードにしてみると、いかにもテルミンらしいアナログでどんな中間音階もでるテルミンに戻りました。
型を破ってやっと開眼
久しぶりのテルミンだったし、元々ちゃんとした弾き方を知らなかったのでYouTubeとかで奏法を見て真似することから始めました。でもどうしても見た通りにやっただけでは全然音痴な弾き方しかできませんでした。そこでヤケになって適当に感覚で音出ししてみたら、「あれっ割と曲っぽく聞こえた」ではありませんか! そこで思ったのは「テルミンて個人や環境にやたらと左右されるので決まった奏法で弾くよりも、音を探しながら弾くしかない」という境地に至りました。なので下から上に弾いてみたり、左右に弾いてみたり色々と曲によって変えたり、その日の調子で変えたりしてみました。
そんなことを1年くらいやってみてから、最初の頃に見たいわゆる正しい弾き方を試してみたら、割としっくりきました。逆説的ですが「ある程度弾けるようになって初めて基本のやり方だと音階が合わせやすいとわかった」んです。自分でやった試行錯誤の中からこうした方がいいかもという独自奏法を積み上げていったら、結局は基本形に戻ったという回り道でした。
やっぱり先生が欲しい
なんとなく弾ける雰囲気になってきたら、次は「テルミン経験者が見ても普通に弾いてる」と思われるようなそれなりの奏法ってどんなやり方なのか、自分の今の弾き方のいい点、わるい点は何かなどを上級者に見てもらいたいなと思っています。うまくいくかどうかわかりませんが、テルミン講師の方に体験レッスンを申し込んでみようと考えています。しかしテルミン講師なんてそうそういない、いても凄く遠い場所で教室をやっているなど逆風はいまだに吹きまくりです。でももう少し弾きたい音をだせるようになって、もうちょっとだけましな演奏にしなければ、楽しんで弾くという境地にはならないので、なんとかもう一皮むけた状態になりたいというのが今の願望です。
テルミンは弾けるまでに時間がかかるし、少し弾けても本格的に弾けるようになるには相当な修行が必要だと思います。そういう意味では時間が豊富にあって我慢強いシニア層向けのワイフワークになる趣味としてテルミンはこれから流行する(といいな)と思っています。